日本で働くベトナム人を知る〜“技能実習”と“特定技能”の違いを知っていますか?
訪日ベトナム人情報
働く外国人技能実習生
日本で働くベトナム人は年々増加しています。

在留ベトナム人の多さは日々の生活で実感する機会もあると思いますが、日本で働くベトナム人はどんな資格で働いているかをご存知ですか?

「技能実習生」「特定技能」ニュースでよく耳にする単語ですが、どんな違いがあるのか、実際に説明するとなると難しいですよね。

今回は多くの在留ベトナム人が日本で働くために取得するビザ「技能実習」「特定技能」の違いについてご説明します。

日本の経済を支える外国人労働者

少子高齢化に伴う人材不足で、日本では外国人労働者の受け入れが年々増加しています。

2016年には外国人労働者数は100万人を突破、2019年には約165万人となりました。

コロナ禍でも外国人労働者の需要は増え続け、現在も増加の一途。人手不足が続く日本では、外国人労働者の力が必要です。優秀な外国人労働者の獲得にさまざまな企業が力を入れています。

増加するベトナム人雇用

厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和5年10月末時点)によると、日本におけるベトナム人労働者数は518,364 人。この人数は外国人労働者全体の25.3%を占めており、外国人労働者数でトップとなっています。

次いで中国、フィリピンと続きます。

日本で働くベトナム人の数

2012年:2万6828人

2013年:3万7537人

2014年:6万1168人

2015年:11万0013人

2016年:17万2018人

2017年:24万0259人

2018年:31万6840人

2019年:40万1326人

2020年:44万3998人

2021年:45万3,344人

2022年:46万2,384人

2023年:51万8,364人

出典:厚生労働省「外国人雇用状況の届出状況」(各年10月末現在)

 

日本で働くベトナム人は、2019年に40万人を超えました。現在も増え続け、2023年にはついに50万人突破。日本で働く外国人のうち、25.4%がベトナム人です。

ベトナム人就労者を在留資格別にみると、技能実習が一番多く、ベトナム人就労者の中の約40%を占めています。次に専門的・技術的分野の在留資格、資格外活動(留学生などのアルバイト)と続きます。

技能実習ビザとは

一定期間、外国人を産業界に受け入れ、技能などを習得してもらう制度で、その国の経済発展を担う人材育成を目的としたものです。期間は最長5年間。その後は期間中に取得した技術を母国に持ち帰り、自国の産業の発展などに貢献します。

 

技能実習受け入れ可能な職種

外国人技能実習生受け入れが可能な職種は以下です。

・農業関係(2職種6作業)

・漁業関係(2職種10作業)

・建設関係(22職種33作業)

・食品製造関係(11職種18作業)

・繊維・衣服関係(13職種22作業)

・機械・金属関係(16職種31作業)

・その他(20職種37作業)

・社内検定型の職種・作業(2職種4作業)

 

技能実習制度の区分

 

・第1号技能実習…入国後1年目の技能等を修得する活動

・第2号技能実習…2・3年目の技能等に習熟するための活動

・第3号技能実習…4・5年目の技能等に熟達する活動

 

技能実習制度は上記の3つに分けられます。

 

第2号技能実習、第3号技能実習の移行には可能な職種・作業が定められています。

第1号技能実習から第2号技能実習へ、第2号技能実習から第3号技能実習へ移行するためには、技能実習生本人が所定の試験(2号への移行の場合は学科と実技、3号への移行の場合は実技)に合格する必要があります。

 

特定技能ビザとは

日本では労働人材不足のため、2019年から新たな在留資格が創設されました。

これが「特定技能ビザ」です。

これまでは一部の例外を除いて外国人が働くことのできなかった業界で、外国人が働くことができるようになりました。

特定技能ビザには1号と2号があり、在留可能な期間や、家族滞在が認められるかどうかなどの違いがあります。

 

技能実習ビザと特定技能ビザの違い

特定技能と技能実習では就業できる業種・職種が異なります。

 

技能実習制度では、技能実習には受け入れの人数に制限があります。技能の習得が目的とされるため、要求水準は特に設けられていません。原則として、試験はありません。(例外として介護職のみN4レベルの日本語能力が要件とされています)また、転職はできません。

技能実習→「技術移転による国際貢献」受入人数制限あり。試験なし。転職不可。

 

一方、特定技能制度では、受け入れ人数の制限はありません(建設、介護は除く)。原則として「技能試験に合格する」事が就労の条件となっています。その試験で、日本語能力(N4レベル相当)や技能水準を確認します。、同一分野または、その業界に適した技能評価試験に合格していれば転職ができます。

特定技能→「労働力の確保」受入人数制限なし。技能試験および日本語試験の合格が必須。同一分野または、その業界に適した技能評価試験に合格していれば転職可能。

 

特定技能ビザ1号とは

 

2024年現在、特定技能ビザ1号の対象業種は12業種です。

【特定技能ビザ1号の対象業種】

①介護

②ビルクリーニング

素形材産業・産業機械・電気電子情報関連製造業

④建設

⑤造船・舶用工業

⑥自動車整備

⑦航空

⑧宿泊

⑨農業

⑩漁業

⑪飲食料品製造業

⑫外食業

 

日本で働ける期間は通算で5年間が上限とされています。

 また、定住が想定されていないため、家族の帯同は基本的に認められていません

特定技能ビザ2号とは

2024年現在「介護」以外の12業種が対象です。1号の修了者が試験に合格することによって、2号に進むことができます。「介護」分野については在留資格「介護」などの別の移行先があることから2号の創設は見送りとなりました。

【特定技能ビザ2号の対象業種】

①ビルクリーニング

素形材産業・産業機械・電気電子情報関連製造業

③建設

④造船・舶用工業

⑤自動車整備

⑥航空

⑦宿泊

⑧農業

⑨漁業

⑩飲食料品製造業

⑪外食業

 

特定技能2号日本の滞在期間に制限はありません。更新の条件を満たす限り、何度でも更新が可能です。

そのため、家族の帯同が認められています。(家族とは、配偶者と子供のみになります。親や兄弟姉妹は含まれません)

特定技能ビザ1号と2号の違い

滞在期間が1号は通算5年を上限とするのに対し、2号は滞在期間に制限はありません

1号は家族の帯同が認められていませんが、2号は家族の帯同が認められています

 
 

日本で長く働くために

技能実習生としては通算5年、日本に在留が可能ですが、さらに長く在留してもらえる制度として「特定技能」があります。

「特定技能」を利用することで、さらに長く日本で働くことができます。

技能実習2号または3号を修了した技能実習生は、条件を満たせば特定技能1号へ移行することができます。特定技能1号では一定期間での更新は必要となりますが、合計で5年間、働くことが可能となります。

つまり最長で10年、日本で働くことが可能です。

さらに特定技能2号へ移行すると、3年、1年、または6ヵ月ごとに滞在期間の更新は必要ですが、滞在期間の上限はありません。つまり、実質的には永住が可能な在留資格だということができます。

「技能実習」ビザから「特定技能」ビザへの切り替えは?

技能実習ビザから、特定技能ビザへの切り替えは可能です。

「技能実習2号」「技能実習3号」の修了者は、「特定技能1号」の技能試験、日本語能力試験が免除されます。

 

技能実習→特定技能に切り替え可能

外国人労働者の転職は可能?

技能実習ビザでは、転職は認められていませんが、特定技能ビザでは、同じ分野であれば転職が可能です。

 

技能実習ビザ→転職不可
特定技能ビザ→同じ分野であれば転職OK

技能実習ビザと特定技能ビザ まとめ

【技能実習】

目的は「技術移転による国際貢献」

受入人数制限あり。

日本語や技術の試験なし。

在留は通算して最長5年まで。

1→2→3号と移行する際には試験がある。

技能実習ビザから特定技能ビザへの切り替え可能。

 

【特定技能】

目的は「労働力の確保」

受入人数制限なし。

技能試験および日本語試験の合格が必須。

1号は12業種、2号は11業種が認められている。

滞在期間は1号は最長5年、2号は制限なし。

同じ業界内で転職可能。

2号は家族の滞在も認められる。

 

 

いかがでしたでしょうか?特定技能と技能実習では、はじめに設定された目的が大きく違います。

今後も外国人雇用は続きます。増加する在留外国人も大きなマーケットとして成長しています。

インバウンド対策として、日本で働く外国人の動きにも注目していきましょう。

 

 

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